BLOGブログ

2023.03.02

寺子屋日誌 その四:勉強時間ゼロですが合格できますか?

「え!?」

地面からのモワッと熱い空気が当たり前になってきた真夏のある日、
「やっとやる気になった」という寺子がやってきた。

事前に書いてもらったアンケートを見た私は
もう一度アンケートを見直した。
「え?!」

その中身

高校3年生のその寺子の成績は

・1学期末テストの順位 174/175
・全国模試偏差値39(ベネッセ)

さらに、

勉強時間は0(ゼロ)

さらに、さらに

目標大学は 国公立

という、内容だった。

受かりますか?

面談の最後、寺子の親から

「受かりますか?」

と言われた。

当然ですが、適当に返事をする事はできません。

「今のままでは無理ですが、やってみないと分りません」

正直なところ、この成績で国公立大はむずかしすぎるだろうと考えていた。
しかし、毎年ドラマのような奇跡的な場面を目の当たりにしている私は、

「もしかしたら今年の主役はこの寺子かも?」

と思ったのです。

最低限の約束

さて、体験学習の翌日、すぐに入塾したいとの申し出があり、早速、今後の勉強の仕方を考えた。
寺子とも話し合い、合格に近づくため最低限の約束を決めた。
「週5日以上、寺子屋に通う事」

これまで勉強時間0の寺子にとって、かなり大変な約束だと思ったが、
目標達成するためにはそれでも足りないと思っていた。

限られた時間の使い方

寺子屋に入る前に「どのような生活習慣で過ごしてきたのか?」を問うことがある。
しかし、受験まで5ヶ月を切った時点ではあまり意味がない。

それよりも、限られた時間で何をするかがとても重要になる。

特にこの寺子の場合、本格的な勉強に取り掛かる前に、
「どの教科で受験するか?」を、ある程度絞る必要があった。

国立大目標となると大半が5教科であることが必須だが、
5ヶ月で5教科を仕上げることは物理的にむずかしい。
そこで、英語、数学IA、国語、世界史の4教科4科目に絞り準備することにした。

当時の寺子は特にやりたい事はなく、
文系で興味がないものだけを外すとしても、選択肢が多かったことが幸いだった。

猛烈な追い込み

この年の寺子屋には医学部を含む難関大志望の寺子が多数在籍しており、
利用時間が多い寺子の中でも、その寺子はルール以上に通い、
3ヶ月間の通塾回数と総利用時間、共に寺子屋に通っている中で一番になり、正に猛烈な追い込みをかけていた。

勉強時間が0だったとは思えない集中力と持続力。
目標のために何をするべきかはっきりしたことで迷いがないように見えた。

3ヶ月以上の遅れ

猛烈な追い込みのおかげで、3ヶ月後の模試では偏差値 52となり、場所を選ばなければ合格できる可能性が出てきた。
その頃には寺子は勉強の上級者となり、さらなる追い込みのため過去問題に取り掛かった。
季節は年末も差し迫った、師走半ば。通常より 3ヶ月以上遅いスタートだった。

選択と結果

出願出来る大学の選択肢は減るが、保険とした数学は切り、国語、英語、社会の3教科で得点率アップを図ることにした。
寺子は宣言通り国公立大のみに出願し、

なんと、前期で合格を決めた!

死力を尽した5ヶ月間

試験を終えた寺子は試験翌日から3日間、殆ど食事を取らず、ただただ寝ていたらしい。
「死力を尽した」と言えばオーバーかもしれないが、
牡絶なプレッシャーの中で臨んだ受験であったのは火を見るよりも明らかだった。

今年の主役だったけれど

結局のところ、面談時の予感通り、今年の主役級とも言える存在感を示した寺子だったが、
これをご覧のみなさんは「ギリギリまで勉強しなくても受かるんだ〜」などと思わないで欲しい。

本人の努力やご家族の協力など、いろいろな条件が重なって成し得た奇跡的な結果だからだ。

とはいえ、必ず受かるわけではないが、諦めずに必死にやることは
結果の前にとても貴重な経験であると思う。

こんな経験をした寺子の今後にとても期待している。

 

今日のひとことふたこと

・勉強だけでなく、何事においても早くから準備しておくことは大事!